産業機器や携帯電話機向けの液晶ディスプレイ・モジュール事業を営むNEC液晶テクノロジー(神奈川県川崎市)は2009年3月4日,人員削減と工場閉鎖を発表した。液晶産業の需要の落ち込みと急激な円高で同社の業績は「未曾有の大幅な減収減益」になっているという。2008年度(2008年4月~2009年3月)の売上高は300億~350億円程度,営業損益は数十億円の赤字を見込む。2009年度も市場の回復が見込めないため,固定費の大幅な削減に踏み切る。

 同社は現有2工場のうち,鹿児島工場(鹿児島県出水市)を2009年12月末に閉鎖し,生産を秋田工場(秋田県秋田市)に統合する。鹿児島工場は1969年に設立。正社員250人を含む従業員370人体制で,生産能力は14型換算で8万6000枚/月である。拠点再編に伴ってNEC液晶テクノロジーは従業員(非正規を含む)を約590人削減する計画。現時点の1190人に対し,2010年3月末には600人体制にするという。

 NEC液晶テクノロジーは,この固定費削減で経営基盤の強化を図るとともに,医療機器やFA機器などの産業機器向け製品を軸として,3次元ディスプレイや電子ペーパーなどの新市場開拓に積極的に取り組むとする。